以前フォルクスワーゲンに自然吸気(NA)エンジンがなくなるという話があったけど、逆にトヨタは自然吸気を大事に考えているらしい
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今回はトヨタがそう考える理由と、ターボ、NAそれぞれのメリットを考えてみたい
ソース:Toyota lays out future powertrain plans in catch-up bid
記事内容まとめ
- トヨタのドライブトレインの技術担当専務役員の嵯峨宏英氏が、「排気量の大きなアトキンソンサイクルエンジンを使用していくべき」と語った
- トヨタはターボ技術に投資しているが、嵯峨氏は「ターボが良い世界を作る技術とは確信していない」と語り、ターボがトヨタの標準になるとは思っていないようだ
トヨタ役員が推すアトキンソンサイクルとは?
トヨタの役員がこう言ったのはアトキンソンサイクルエンジンの特徴を考えると理由がわかると思う
オットーサイクル、アトキンソンサイクル比較図
トヨタがいうアトキンソンサイクルは、他メーカーではミラーサイクルと呼ばれることが多い
本来のアトキンソンサイクルはもう少し複雑な機構を持つもののことを言うけど、基本的な考え方は一緒で、エネルギーを作る準備をする圧縮行程よりも、エネルギーを回収する膨張行程を長くして効率(≒燃費)を上げる
デメリットとして、低回転のパンチの無さが指摘されることが多いけど、ここが今回の話のポイントだと思う
トヨタには低速に強いモーターをフル活用するハイブリッド技術がある
エンジンのトルクが少し細かったとしても、ハイブリッドと組み合わせればデメリットは見えにくい
ハイブリッドと組み合わせる前提があるから、車全体としてはNAの方が燃費がよくなるということなんだろうね
ターボとNAどちらがいい?
以前のターボはスポーツカーや上級車に使用される高パワーを出す技術という印象が強かったけど、最近は世界中のメーカーで小さなエンジンで大きな車を動かすエコ技術として利用されている
今、過給エンジンとNAエンジンのどちらの燃費がいいのかという問題に、はっきりと答えられる人はいないと思う
ただ、メーカー全体のコストという部分で考えれば優劣はつけられそう
トヨタのラインナップでは、NAエンジン単体のモデルと、同じエンジンにハイブリッドが組み合わされたモデルがある
これはNAエンジンのパワーUP=排気量UPで、専用のエンジンを作るためにコストがかかるから
(もちろんプレミアム感や燃費というのもあるけど、コストとずれるので割愛)
これに対してターボはフォルクスワーゲンのラインナップでも分かる通り、加給圧を変えると小型車から大型車まで同じエンジンを使いまわすことができる
もちろんパワーを出す分多少の変更が加えられることが多いけど、全体的に新設計しなければならないNAエンジンと比べると負担は少ない
トヨタハイブリッドがエンジンに求める性能としてはNA(アトキンソンサイクル)だけど、他メーカーがこれからエコカーを作るのにはターボのほうが良さそう
ターボにも投資をしているらしいからトヨタだけが・・・という状況にはならないと思うけど、これからの技術進化の流れに注意が必要そう